弁護士は刑事裁判では「被告人」側に立つ「弁護人」として活躍するのが役目、というのは一時代前の考えで、近年の制度のもとでは、「被害者参加人」を助ける「被害者参加弁護士」として検察官の隣に同席して仕事をすることもある。
本書はとりあえず、そうした新しい仕事を引き受ける弁護士さんのためのマニュアル本といえる。が、犯罪被害者（または被害者遺族）も、自分たちの立場を守ってくれる法制度としてどんなものがあり、どう使えばいいのかを考える際に、一冊手許に置いておくに値する本である。関係する法律の条文や、提出すべき書類の書式や、各地の犯罪被害者支援窓口のＵＲＬ、電話番号なども載っているから、とても便利である。
もっとも、犯罪被害者やその遺族になったばかりの精神的に動転している状態のときには、素人の人にはこの本は少しむずかしすぎるかもしれない。そういう人はまず柳沢智子著『被害者のための刑事裁判ガイド』（リベルタ出版）を読み、二冊目の本として本書を求めるのがよいと思う。
また、本書は法律家のための本であるため、精神面の被害者サポートについてはさほど詳しい話は書かれていない。その面については『犯罪被害者支援とは何か』（ミネルヴァ書房）などが役に立つかもしれない。
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